宮崎県庁様導入事例
仮想基盤上のシステムを「まんべんなく、低コストで」監視
宮崎県庁の取り組みを支えるQTNet
仮想基盤上のシステムを「まんべんなく、低コストで」監視
宮崎県庁の取り組みを支えるQTNet
宮崎県サーバー統合基盤業務を安価にかつ安定的に運用する
極めて重要なシステムがあるため、24時間365日の監視が必要
宮崎県が求める要件を満たし、かつコスト削減につながる監視ソリューション
大規模環境での導入実績があり、マルチテナント環境で利用ができること
サポート体制がしっかりしていること
Zabbix認定パートナーの九電ビジネスソリューションズによるサポートとテンプレートの提供
監視できるハードウェアやOSが幅広い
商用ソフトウェアと比較して最大で4分の1までコストを削減
仮想環境、ネットワーク機器、ログの収集、SNMPトラップの効率的な監視と安定運用に欠かせないサポート
暫定的な環境構築時は、アプライアンスを利用し、迅速に構築
仮想化やクラウドサービスといったトレンドは、地方自治体のシステムにも及んでいる。その先陣を切って動いているのが宮崎県だ。同県は2014年度からサーバー仮想化技術を活用したプライベートクラウドサービス「宮崎県サーバー統合基盤」への移行を開始した。
宮崎県ではそれまで、各課において、人事、財務といったさまざまなシステムを運用してきた。これを担うシステムの数は年々増加し、200を超えるほど。ハードウェア更改のたびに多額の費用がかかっていたうえ、スペースの問題もあった。
そこで注目したのが仮想化によるサーバー統合だ。同県ではシステムの更改時期が近付いてきたことを機に、サーバー仮想化技術を用いてこれらを統合し、柔軟かつ低コストな新システムに順次移行していく方針を決定。2014年6月から5年計画でプライベートクラウドサービスへの移行を進めている。
この基盤の構築、移行や運用を担っているのが、九州電力グループの電気通信事業者である九州通信ネットワーク(QTNet)だ。同社は個人向けインターネット接続サービス「BBIQ 」や法人向け各種通信サービスを提供する他、自治体向けにさまざまなサービスを提供してきた。宮崎県内の各市町村を結ぶ光ファイバー網「宮崎情報ハイウェイ21」もその1つだ。QTNetではそうした経験や実績を生かし、九州電力グループ各社や宮崎地場企業のデンサン、伊藤忠テクノソリューションズと協業して、低コストかつ安定した統合基盤を提供している。
QTNetが宮崎県サーバー統合基盤の運用に際して採用した監視ソリューションが「Zabbix」だ。統合基盤を構成するサーバー群やネットワーク機器の稼働状況や使用状況をZabbix 2.2で監視し、モニタリングデータをポータル上で常に確認できるようにしている。
物理サーバー同様、仮想基盤においても監視は重要なポイントだ。「仮想化技術を用いてシステムを二重化、三重化し、どれか一つが落ちても大丈夫なように構成しています。何か起きたときにいち早くそれをつかみ、エスカレーションする仕組みをZabbixを用いて整えています」と、デンサン システム開発一部 IT基盤技術課 高津勝昭氏は語る。
監視ツールには商用ソフトウェアも含めてさまざまな選択肢があったが、宮崎県が求める要件を満たし、かつコスト削減につながるという理由からZabbixが浮上した。「オープンソースかどうかということではなく、監視に必要な要件を満たしたことが理由です」(九州通信ネットワーク 執行役員 法人営業部長 宗像 敏之氏)。
高津氏によると「商用ソフトウェアの中には、特定機器の障害発生時にLEDを点滅させて知らせるといった凝った機能を備えたものもありますが、宮崎県サーバー統合基盤で求めているのはそこまで深い機能ではありません。仮想化環境やネットワーク機器も含めてまんべんなくシステムを監視し、ログを取得し、SNMPトラップを受け取って、安定運用を支援するという基本的な役割を、Zabbixは十分に果たしています」という。
QTNetがZabbixに着目した大きな理由は「コスト削減」(馬場氏)だ。商用ソフトウェアでは監視対象ごとにエージェントが必要で、監視数に比例してコストが増大していたのに比べ、オープンソースでソフトウェア本体が無償のZabbixならば最大で4分の1までコストを削減できると見込んでいる。
ただし、基幹系も含めた重要なシステムを監視する以上サポートは欠かせない。その部分を担っているのが、Zabbix認定パートナーの九電ビジネスソリューションズだ。九電ビジネスソリューションズ システム運用管理部のマネージャー 大塚隆氏は、「導入に当たっては、過去のノウハウを反映したテンプレートや設定のためのレクチャーを提供しました」と述べる。運用後も、「こちらから『こんなことはできますか?』と尋ねると、九電ビジネスソリューションズからはそれまでの蓄積を元に『これとあれを組み合わせればできます』とスムーズに返事が返ってきます」(高津氏)とその対応が評価されている。
宮崎県では2014年6月から順次、仮想環境への統合を開始した。2014年度中に、全70システム、約300サーバーのうち 23システム53サーバーを宮崎県サーバー統合基盤に移行する計画だ。
宮崎県サーバー統合基盤を受注してから実際に運用が始まるまでの期間はわずか3〜4カ月だったという。この短期間のうちに暫定的な仮想環境を構築し、移行作業を進めた。その間も適切に監視を行うため、QTNetではZabbixアプライアンスを活用した。本番環境では、仮想サーバー上にZabbixを構築し、サーバー統合基盤全体の監視を行っている。
今後、Zabbixアプライアンスは、ディザスタリカバリを目的にして県外のデータセンターに設置されるバックアップサイトの監視に活用される計画という。
仮想化のメリットの1つがリソース集約によるコスト削減だが、リソース配分が最適化されているかどうかの監視も欠かせない。QTNetでは、仮想化基盤のベースとなるVMware ESXi自体のリソースと、その上で動作するゲストOSに割り当てられているリソースの双方をモニタリングしている。「仮想サーバーの収容効率をいかに上げていくかにも工夫を凝らしています。リソース消費状況を見ながら、場合によってはいったん割り当てたメモリ、CPUを戻してもらうよう依頼することもしています」(高津氏)
九州通信ネットワーク 法人営業部 ソリューションサポートグループ 課長 馬場浩志氏は、いわゆるマルチテナント環境に対応し、課ごとそれぞれに異なる要件に合わせた監視条件を設定し、運用できる点も評価しているという。さらに、オープンソースならではのカスタマイズ性の高さも実感しているそうだ。「各課にカスタマイズしたポータルを用意し、いま、システムの何がどうなっているか、詳しくない人でもすぐに把握できるようにしています」(馬場氏)。
宮崎県サーバー統合基盤への移行プロジェクトはまだ序盤。今後5年をかけてさらに多くのシステムを統合基盤上に移行していくことになる。「宮崎県庁自体は、先進的な技術に積極的に取り組む姿勢を見せています。サポートあってこそですが、オープンソースソフトウェアを怖がらずに、一歩進むことが大事だと学びました」と馬場氏は述べる。今後も注目したいプロジェクトだ。
「フェニックス・シーガイア・リゾート」に代表される南国情緒豊かな気候を活用した農業や観光に力を注ぐ。2002年度から県庁と各市町村を結ぶ多目的光ファイバーネットワーク「宮崎情報ハイウェイ21」を導入するなどIT化にも積極的に取り組んでいる。2014年度より5カ年計画で、サーバーの仮想化に取り組んでいる。
九州電力グループの九州通信ネットワーク株式会社は、九州に根差した通信事業者として、個人向けインターネット接続サービス「BBIQ 」や企業をはじめ自治体や学校・病院など法人向けに「VLAN」などのデータ通信サービスを提供しています。また、目的に応じてさまざまなハードやソフトを最適に組み合わせて提案するソリューションサービスも提供しています。
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