福岡大学様導入事例
4万超のアイテムを一台のZabbix Serverで監視
西日本有数の大規模学内システムの安定稼働を支えるZabbix
4万超のアイテムを一台のZabbix Serverで監視
西日本有数の大規模学内システムの安定稼働を支えるZabbix
システムの追加・拡張のたびに追加コストがかかるのを防ぎたい
頻発する障害の誤検知による、運用負荷を減らしたい
マルチベンダーの多種多様な機器とサービスレベルの監視
IPv4とIPv6のデュアルスタックネットワークの監視
導入コストが低く、システム拡張に応じた追加ライセンス料が不要
テンプレートを活用することで、大規模環境にもかかわらず、短期間で構築
約1,200台の機器、43,000以上のアイテムの監視
テンプレートを活用し、短期間で構築
設計の見直しで、誤検知も減り、障害が起きた機器が直感的に分かるようになった
福岡市南西部にキャンパスを構える福岡大学は、9学部31学科、大学院10研究科34専攻を擁し、2万人を超える学生が学ぶ西日本有数の規模の総合大学として、地域に根ざしつつ幅広い人材を世に送り出してきた。その学内で快適なネットワーク環境を提供し、教育や研究活動のインフラとしての役割を果たしているのが、教育研究システム「FUTURE5」(Fukuoka University Telecommunication Utilities for Research and Education 5th generation)だ。
「5」と名付けられていることからも分かる通り、現行のシステムは五世代目に当たる。福岡大学では、インターネット接続環境がまだ珍しかった1994年からいち早くシステムを構築し、教育研究利用に活用してきた。ネットワーク速度の向上や無線LAN環境の採用、クラウドサービスの活用、セキュリティ対策の強化など、その時々に必要とされる要素を盛り込みながら、おおむね5年おきに大規模な更改を繰り返し、現在に至っている。
最新版となるFUTURE5はこれまでのシステムをベースにしつつ、シンクライアントシステムでWindows 8.1環境を提供するほか、タブレット端末を採用した協働学修教室の導入、無線LAN環境の拡充やセキュリティレベルの向上など、さまざまな新たな試みを取り入れた。10,000台程度のPCが接続する西日本でも最大規模のキャンパスネットワークに、無線アクセスポイントを約200ヶ所設置し、2015年9月から稼働を開始している。
FUTURE5の設計や事前検証、稼働後の運用監視を担っている福岡大学総合情報処理センターの研究開発室 室長 奥村勝教授は、FUTURE5は「止まらないネットワークを念頭に置いて設計しています」という。
というのも、FUTURE5は事務系を含む全ての学内のネットワークを担っている。万一何らかの障害が起これば、授業や研究活動に大きな影響が生じかねない。従って、機器やネットワーク経路の冗長化、マシン室の分散化によってシステムの信頼性向上を図ること、監視を通じて障害を速やかに検知することで、学内の全ての人に、安定した品質のサービスを提供することが可能となる。福岡大学はこうした「止まらないネットワーク」を実現するためにZabbixを採用した。
歴代のFUTUREシステムでも、当然ながら安定稼働のためにシステム監視は行ってきた。だが、5年単位で行われる大規模更改の合間にも、システムには拡張や追加が加えられる。それまで採用していた商用システム監視ツールでは、拡張のたびに追加コストを要することが課題となっていた。
加えて、日々の運用の中で誤検知に悩まされていたことも課題だった。福岡大学 総合情報処理センター研究開発室 藤村丞准教授は「監視ツールがアラートを出したけれど調査してみると何もなかった、というケースが何度もありました。このため、結局は人の感覚に頼って判断を下す必要があることが負担となっていました」と振り返る。奥村教授も「できれば運用開始後はツールに振り回されたくないと考えました」と述べた。
そんなときに、インターネットイニシアティブ(IIJ)から提案を受けた監視ツールがZabbixだった。オープンソースソフトウェアをベースとしており導入コストが低く、システム拡張に応じた追加ライセンス料が不要なことが大きな魅力だったという。加えて、Zabbixに関する情報が豊富に存在しており、導入実績が多いこと、特にデータセンターなど大規模システムでの導入実績があり、性能面で信頼がおけることも選択を後押しした。
「昔とは異なり、オープンソースソフトウェアをサポートするベンダーは増えており、不安感はそれほどありませんでした。実は以前から、自分の研究室で運用している20〜30台程度のサーバーの監視用にZabbixを用いていたこともあり、なじみもありました」(奥村 教授)といった理由も相まって、Zabbix採用を決定した。
FUTURE5は、シスコシステムズやアラクサラネットワークなどマルチベンダーのネットワーク機器に加え、VMwareなどの仮想基盤や複数のセキュリティ機器で構成されている。加えてNTPサーバーやActive Directory、VPNといった多様なサービスも稼働しているが、その全てをZabbixで監視している。福岡大学ではSNMP Trapの定義を工夫することで、こうした多種多様な機器全てを監視する仕組みを実現した。
またFUTURE5の特徴の一つは、IPv4とIPv6のデュアルスタックネットワークとなっていることだが、Zabbixはその両方を監視している。
「Pingによる死活監視だけでなく、上位レイヤのサービス稼働状況も監視しています。機器自体の監視に加え、Webのレスポンスタイムが許容範囲内にとどまっているか、認証システムは適切にレスポンスを返しているかといった事柄をエンドユーザー視点で監視し、『マシンは返事をしていてもサービスに異常が生じている』といった事象をいち早く検知したいと考えています」(奥村 教授)
現在、200台以上のスイッチをはじめ約1,200台の機器、約4万3,000アイテムの監視を、仮想基盤上でのZabbixサーバー 2.2で監視している。Zabbixサーバーの冗長構成は取っていないが、障害時にはVMware vMotionを活用し、仮想基盤側で吸収する仕組みだ。
福岡大学ではIIJの支援も活用しながらZabbix導入作業を進めた。「非常に大規模なシステムであるFUTURE5の中でも、Zabbixを用いた監視部分は、テンプレートを活用することで早い段階でできあがりました。そこで構築段階からZabbixを活用し、FUTURE5の構築に役立てました」(IIJ 九州支社技術部 プロフェッショナルサービス1課 エンジニア 渡辺 清貴 氏)
FUTURE5の本格稼働後、特に大きな問題は発生していない。最初は取っ付きにくく見えたインターフェイスも、慣れてしまえば使いやすいという感想だ。また運用していく中で監視項目を追加したり、チューニングを加えたりといった細かな調整を加えたこともあり、誤検知も減ったという。
福岡大学独自の工夫も加えている。例えば、FUTURE5では200台以上のスイッチが稼働しているが、以前はアラートメールが届いても、「何号館の何階にあるどのスイッチか」「どのラックに入っているどのサーバーか」が分からず、いちいち資産台帳を開いて機器を特定する必要があった。「1台や2台ならばいいのですが、多数のアラートが飛んで来ると追いつかなくなってしまいます。そこで最初の設計段階で名前付けを工夫し、アラートを見ただけでどの機器かが直感的に分かるようにし、運用をきちんと回せるようにしました」(藤村 准教授)
いずれにせよ前提となるのは、止まらずに教育や研究を支える安定した品質だ。「利用者に見えないところですが、いち早く問題の把握を行い対応することがサービスの品質向上に役立つという確信の下、FUTURE5の運用を行っていきます」(奥村 教授)
80年を超える歴史と伝統を持つ福岡大学は、「建学の精神」と「教育研究の理念」の下、9学部31学科、大学院10研究科34専攻を擁する西日本屈指の私立総合大学として確固たる地位を築いてきました。
グローバル化、少子高齢化、科学技術の進展など激変する現代社会にあって、高等教育にも大きな変革が求められています。福岡大学は、本来の使命である教育・研究・医療のさらなる質的向上を図り、地域社会や国際社会に一層貢献していきます。
そのため「福岡大学ビジョン2014-2023」を中心に据え、大きな視野と中長期的な視点で新たな成長戦略を策定し実行します。創立100周年に向けて、今一度「建学の精神」に立ち返り、活力と魅力溢れる大学「アクティブ福岡大学」としてさらに前進していきます。
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